ブログ
11.12021
Vol. 187 Meets the Homespun 2021
この数週間で急に涼しくなってきました。
まさに、秋がほとんどなく、夏から冬に空気が入れ替わった気がします。
最近は春も同様です。
4月は比較的涼しい日が続いていても、GWを超えると急に夏の気候になる気がします。
まさに、日本の四季は春と秋がなくなり、夏と冬だけになったようです。
ところで、私は神戸タータンを推進している関係で、岩手県の大手地方銀行、岩手銀行の100%出資会社で地域デザイン商社である「manordaいわて株式会社」の地域ブランディング部門のアドバイザーを務めています。
先日、岩手県などが主催し、manordaいわて株式会社が協力する、「Meets the Homespun2021」というイベントが、盛岡市内の岩手銀行赤レンガ館で開催されました。
Meets the Homespun2021>>
会場の岩手銀行赤レンガ館(岩手・盛岡)
前日の準備の様子(岩手銀行赤レンガ館)
昨年の12月のコラムでもご紹介しましたが、大正時代に軍服への供給を見込んで東北や北海道で国策事業として始まった毛織物産業が、唯一、現在も岩手県で残っており、現在も手紡ぎ、手織りの「ホームスパン」の工房が多数あります。
今回のイベント、「Meets the Homespun 2021」は、それらの工房が一堂に会する、展示と販売の祭典です。
昨年12月のコラム>>
そのコラムでご紹介した日本ホームスパンの生地も、そのホームスパンを源流としたシャトル織機による発展的な製法で制作されており、私は、岩手の羊毛産業なども含めて、県全体の毛織物を産業として活性化し、まずは県民への認知度の向上を提案しています。
シャトル織機の日本ホームスパン社製の生地によるジャケット
私はあいにく、週末は店に戻る必要があり、前日のイベントの準備のみお邪魔したのですが、現地からの報告によると、二日間とも天候に恵まれ、2000人以上の入場者があったそうで、神戸タータンを見に来られた方も多かったそうです。
展示とともにホームスパンのマフラーや小物を販売しており、こちらも過去にない売り上げで、岩手県民、盛岡市民には、地場産業として着実に浸透しているようです。
基本は植物による染色した原毛を手紡ぎした糸は(あるいは手紡ぎした糸に染色)、柔らかい温かみのある色合いになり、さらに手織の織機でゆっくりと織り上げた生地は、独特の膨らみのある風合いとなります。
しかも、現在の近代的な織機に比べ、より複雑な立体感のある柄を織ることができます。
手間ひまをかけた服地は本当に素晴らしいのですが、それがゆえに「工芸作品」となり、どうしても高価なものになってしまいます。
(実際、柳宗悦や及川全三らによって「実用と美」の民藝運動によって価値が高められました。)
今後産業としての永続性を考えると、ホームスパンを源流とし、その伝統や技術を踏まえながら、どのような形で市場性のある商品を作り出すかが課題だと思います。
また、岩手県では、岩手県産の羊毛の活用を推進する「i-Wool(アイ・ウール)」プロジェクトが進んでおり、県内の約600頭の羊からとれた羊毛を県内の作家がブランケットなどを制作し地産地消を進めています。>>
いずれにせよ、このコロナ禍で海外への渡航もままならない状況で、今一度、日本国内の優れたものにも注目したいと思っています。
上述の岩手のホームスパン以外の最近の日本国内の動きをご紹介したいと思います。
◆ 国島(本社:一宮市)の国内の羊毛を使ったツイードコレクション「The J.Shepherds」
日本国内にはたった17,000頭の羊しか飼育されていません。(これは、ともすれば、オーストラリアの牧場一つ分の羊の頭数程度の規模です。)
それらの日本の羊のウールにこだわった展開です。>>
◆ 手織り工房Turriffを主宰する明石恵子氏が最近上梓された「手織りのタータンチェック」(誠文堂新光社刊)
スコットランド製のラムスウールやチェビオットの工業用の糸を使い、実用的な紳士服地やマフラーなどを手織りされ、
先日、上述の本を上梓されました。>>
織の構成が非常にわかりやすく、参考になります。
この本において、神戸タータンについて寄稿させていただいています。
明石氏の手織り生地で当店で仕立てたジャケット(撮影:遠藤晶)
先日発行された、神戸市広報誌KOBE11月号はファッション特集で、神戸タータンが大きく取り上げられました。
表紙のスカートは、私が専任教員を務める、神戸松蔭女子学院大学ファッション・ハウジングデザイン学科の学生が、ファッションショー用に縫製したものです。
2面には神戸タータンの簡単な説明があります。
イラストなど随所に神戸タータンが使われており、表紙のKOBEのロゴもタータンっぽいですね(笑)
11月2日までに、神戸市内の全世帯に配布される予定です。
詳しくは>>