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7.12024
Vol. 219 2024 Autumn/Winter Coatings
本州はようやく梅雨入りし、蒸し暑い日が続いています。
以前にもご報告したように、すでに2024年の秋冬物の準備を進めています。
(2024年秋冬物生地情報でご紹介しているEscorialの在庫も、いよいよあと数着となりました。>>)
Loropianaなどはすでに秋冬物のバンチサンプルが手元に届いており、現在、皆様にお見せできるように準備を進めています。
これから、新しいコレクションがどんどん入ってきます。
とっても楽しみです。
ただこの1週間、ドルとともにユーロもどんどん高くなっており、その影響も若干心配ですね。
ここの所、お客様よりも秋冬物のご相談が増えてきています。
その中でコートに関するご相談も多くあります。
コートの生地に関しては、種類もスーツほど多くなく、ほぼ定番化されているなかで、毎シーズン、お買い得のものなどが入ってきます。
従いまして、今の段階でも結構いろいろ選んでいただけますし、仮縫を含めるとご注文から2か月程度かかることもあり、むしろスーツやジャケットより先に検討を進められても良いと思います。
ということで、今後のご検討の指針となる情報をお送りします。
◆ コートのデザイン
コートは防寒用のオーバーオートと雨風をしのぐレインコートに大別されますが、一般的にはこれからの季節、オーバーコートの方が出番が多いと思います。
上の画像は、当店でご用意している主だったコートのサンプルとなります。
コートのデザインはほとんどのものがスポーツや軍隊由来のもので、様々な用途や着用のシチュエーションによって、機能が収れんされたもので、それぞれ、その美しさがあります。
左から、
ブリティッシュウォーム 第一次世界大戦当時英国陸軍で着用されたコート
カバートコート 英国におけるハンティングで着用されたコート
チロリアン・ローデンシューティングコート ヨーロッパにおけるシューティング(狩猟)で着用されたコート
トレンチコート 第一次世界大戦当時、英国陸軍、特に塹壕戦で用いられたコート
ポロコート 英国でポロ競技の際に着用されたコート
バルマカーンコート スコットランドが起源のレインコート、日本ではステンカラーコートと呼ばれる。
ストックマンコート 牧畜業者が着用するレインコート、肩や袖の縫い目からの雨の侵入を防ぐケープが付いている。
ピーコート 主にヨーロッパの海軍で艦上で着用されたコート
もちろん、この画像にはない通常のチェスターフィールドコートはシングル、ダブルとも定番アイテムです。
また、上の画像についても、厳密にはコートとは呼べないかもしれませんが、スポーツや軍隊由来の「アウター」となります。
左から、
CPOジャケット CPOはChief Petty Officerの略で、アメリカ海軍の下士官が着用したシャツジャケット。
マッキノ―クルーザー カナダの森林警備隊が着用したジャケット、背中の地図を入れる大きなポケットが特徴。
シュータージャケット 英国でハンティングをする際に着用するジャケット
もちろん、これらのコートを基に、個人個人の使い勝手を考えて、仕様を変更することは全く問題ありません。
上述のすべてのコートのサンプルが当店でご用意していますので、ぜひご着用の上ご検討ください。
◆ コート生地
コート生地は大別すると、①カシミア ②カシミア以外の獣毛 ③ウール ④レインコート用のコットンとなります。
今ご覧いただける主だったサンプルをご紹介します。
① カシミア
やはり、コート生地としてはカシミアが主役です。
繊維の直径が細いため、しなやかで光沢があり、空気を多く含むため保温性に優れています。
柔らかい生地が身体にまとわりつく感じがあり、ほかの同じ重さの素材に比べても軽く感じます。
ただし、その分、デリケートな側面もあり、ウールに比べると取り扱いには注意が必要です。
(左) Johnstons of Elgin 100% Cashmere 500g
(右) Manifattura Tessile Risaliti 100% Cashmere 440g
(左) Drago 100% Cashmere 490g
(右) Ermenegildo Zegna 100% Cashmere 460g
② カシミア以外の獣毛
一般的に高地や北極圏などに生息する動物の方が、自らの体温を守るため保温性に優れた細い毛を持っています。
最たるものが、ビキューナ、グアナコ、アイベックス、キビアックなどとなり、コート1着の価格も数百万円のものもあります。
それ以外の代表格はキャメルヘア(らくだ)です。
とくに、ポロコートはカシミアより質実剛健でありながら保温性もあるキャメルヘアが定番とされています。
またアルパカなども速乾性にすぐれているので便利な素材です。
(左) Loropiana 100% Baby Camelhair 480/500g
(右) Piacenza 100% Baby Camelhair 550g
③ ウール
コートはアウターである以上、あるゆる気象条件においても着用するものなので、ウールの持つ耐久性は大きなメリットとなります。
価格的にもカシミアに比べて安価ですし、上述の様に気を遣わずに着用ができるし、色柄も豊富にあります。
カバートコート用のカバートクロス、ブリティッシュウォーム(コート)用のブリティッシュウォーム(生地)、ローデンコート用のローデンクロス(アルパカとの混紡)など、それぞれのオーバーコートと共に開発された生地も多くあります。
(左) Loropiana 100% Wool 550g
(右) W.Bill 100% Wool 680g
(左) Fox Brothers “Exmoor Overcoating” 100% Wool 560/590g
(右) Harrisons 85% Lumbs Gloden Bale 15% Worsted Spun Cashmere 630/650g
(左) Harrisons “British Warm” 100% Wool 850g
(右) Harrisons “Covert Cloth” 100% Wool 560g
(左) Standeven “Snowdonia” 100% Lambswool 850g
(右) Standeven “Snowdonia” 100% Wool 670g
(左) Fox Brothers “Heritage Flannel” 100% Wool 480/510g
(右) Leichtfried Loden “Loden Cloth” 80% Wool 20% Alpaca 540g
④ その他
レインコート用のコットン生地も多くあります。
特に昨今はVentileを始め、撥水効果のあるコットンもいろいろあります。
(左) Styletex “Water Repellent” 83% Cotton 17% Silk 290g
(右) Styletex “Water Repellent” 100% Cotton 300g
Ventile 100% Cotton
今月から今シーズン、商社が買い付けたお買い得コート生地(Loropianaのカシミア、MTRのカシミア、MTRのカシミア/ウールなど)のサンプルもいち早く登場します。
売り切れ必至ですので、ぜひお早目にご覧ください。
また、Fox BrothersのHeritage Flannnel(490-510g)も値下げされました。
(おわり)