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Vol. 176 “Home Spun” from Iwate

秋も深まってまいりましたが、本格的な冬の到来は、まだ先になりそうです。
新型コロナウィルスの第三波の到来で、なかなか落ち着かない日々が続いています。

先月の初旬に、岩手県を訪れました。
店長が、地元の岩手銀行が設立した地域活性化や産業創出を行う新会社「manorda(マノルダ)いわて」のアドバイザーを務めていることもあり、高校の修学旅行以来(笑)の訪問を果たしたものです。
実は、もっと早いタイミングで、伺いたかったのですが、新型コロナウィルスの感染者ゼロが続く岩手県には、さすがに敷居が高かったので、この時期になってしまいました。


(平泉の中尊寺や毛越寺は絶好の紅葉狩りシーズンでした。)

岩手県で真っ先に思い出すのは、上の画像の「平泉 中尊寺」「三陸海岸」「わんこそば」「小岩井農場」などですが、忘れてはならないのが、岩手の「ホームスパン」です。
ホームスパンとは、羊毛を手で紡ぎ、手織りをしたもので、スコットランドが発祥と言われています。
明治の後半から大正にかけて、戦争による軍服の需要が高まり、毛織物の自給体制を整えるため、国策として北海道、岩手、長野などに政府がめん羊事業を進めたのが始まりです。
その後、北海道や長野の事業は廃れてしまいましたが、唯一、岩手においては、大正時代の思想家、柳宗悦の民藝運動に感化された花巻出身の及川全三によって農家の副業であったホームスパンの美的価値が見いだされ、工芸品として、また、地場産業として発展しました。
本来のホームスパンの工程はこちらをご覧ください。>>  (MORIOKAスヌードのHPより)


(ホームスパンのすべてがわかる「てくり別冊 岩手のホームスパン」)

盛岡市内にはいくつもの工房がありますが、ホームスパンという非常に手間と時間のかかる織物では、マフラーやストールの制作が主で、我々が使える服地はそんなに多くありません。
また、いずれにせよ、非常に高価なものになります。

その中で、花巻の東和町にある「日本ホームスパン」は、広義のホームスパンである、柔らかい手織り風の生地を旧式のシャトル織機で表現する、日本でも珍しい機屋です。
試作やサンプルづくりはすべて、木製の手織り機で行い、実際の生地の生産は津田駒の低速シャトル織機をで行っています。


(手前が木製の手織り機、奥が津田駒のシャトル織機)


(整経機)

現在の取引先のほとんどが、フランスのC社をはじめとするヨーロッパのデザイナーズブランドで、複雑な織柄や様々な素材を使った立体的な生地の制作が強みとなっています。
そんな中で、同社のオーソドックスな色柄のツイードを仕入れてきました。
当店で言えば、一宮の葛利毛織でお願いしている、ShropshireやOilspanも同様のシャトル織機での生産ですが、今回は紡毛糸のツイードということで、顕著に生地のふくらみが感じられ、通常では考えられないストレッチ性を実現しています。

サンプルは、その特徴を生かすべくアンコン仕立てにしてみました。


今までの服地とは全く違う着心地で、ニットのセーターを着ているような錯覚に陥るぐらい、ストレスを感じない着心地です。
しかも、低速で織りあげていることで生地のふくらみが生まれ、着用すると温かさを感じます。
これ以外の色柄の生地もありますので、ぜひご覧ください。

  
新型コロナウィルス感染が収まらず、海外との往来がままならない状況で、今一度、国内の良いものにも目を向けて行ければと思っています。

 

神戸タータン情報

① 神戸市民文化振興財団が運営するプロの音楽団体、神戸市混声合唱団に続き、神戸市室内管弦楽団も当店の神戸タータンのマスクを着用して、公演に臨まれます。

 

次の公演は12月2日(水)の「ベートヴェンの森 第3回」となります。>>
また、神戸タータンではありませんが、年末の風物詩、関西フィルハーモニー管弦楽団の「第九」特別演奏会にて、専属の関西フィルハーモニー合唱団が、当店製の合唱団オリジナルマスクを着用して出演されます。>>

 

② 以前にもご報告しましたように、神戸タータンのダブルガーゼのマスクの販売を開始しました。


店頭およびオンラインショップで販売しています。肌触りがやさしく、温かいのでこれからの季節に最適です。


11月30日の神戸市役所における臨時記者会見において、久元神戸市長も当店のダブルガーゼマスクを着用されました。
また、ダブルガーゼの生地の販売をしています。>>

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