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Vol. 161 Black Watch Tartan

朝晩は少ししのぎやすくなりましたが、日中はまだまだ暑い日が続きますね。

2019年秋冬物の生地見本がすべて出揃いました。

秋冬物は生地のバンチサンプルそのものも分厚く、コート用のサンプルも増えるため、春夏物に比べると格段にかさばります。
実際、この本棚では収まり切れず、隣の棚も2段に侵食しています。
その分、非常に充実したコレクションが揃いましたので、ぜひご来店の上、ご覧ください。

今回、ロロ・ピアーナのオールシーズンのブラックウォッチタータンでジャケットを制作しました。


これは一般的な英国製のブラックウォッチタータンに比べると色のトーンがかなり低く、スーツにも使えます。

このブラックウォッチは1725年にスコットランド軍のハイランド連隊「ブラックウォッチ」のために作られたタータンで、犯罪者の見張り(ウォッチ)をする軍警察として組織されたため、俗にレッドコートと呼ばれる正規軍と区別するために独自のタータンが与えられました。
1746年のカローデンの戦いにてジャコバイト反乱軍が破れ、政府は35年間にわたりスコットランドのハイランド地方でのタータン禁止令を発令しましたが、その間でもスコットランド連隊は対象外で、このブラックウォッチは生き残りました。
その間に多くのタータンは人々の記憶から消滅していき、禁止令が解かれてから、新たにタータンを作る際はこのブラックウォッチが発想の源となり、この派生形としてゴードンやマッケンジー・シーフォースなどが誕生しています。

このブラックウォッチタータン、ブラックと名がつくくらい、色のトーンが低いのが特徴で、気品あふれる色合いが特徴です。
また、周りの光の強さによって、表情がどんどん変わっていきます。

 (日中の屋外での表情)

 (明るめの室内での表情)

 (少し暗めの室内での表情)

 (薄暗い室内での表情)

このように、日中の太陽光では、トラッドで少しカジュアルな雰囲気で、ベージュのチノクロスのパンツなども合わすことができます。
逆に夜の室内では、上質のチャコールグレーやネイビーのウールのパンツを合わせると、かなりシックでフォーマルな印象も醸し出せます。
ブラックウォッチのディナージャケットもありますよね。
そう言えば、映画「KINGSMAN」でコリン・ファースが、紺のベルベットのディナージャケットにブラックウォッチのパンツをはいて、ビッグマックを食べるシーンがありました。

ブラックウォッチタータンは深緑、濃紺、黒の3色で構成されていますが、それぞれの色合いの違いで、ずいぶん印象が異なります。

今回の生地はロロ・ピアーナで、かなり色のトーンが低い落ち着いた色合いですが、英国の生地はもう少しはっきりとしたチェックで、カジュアルなジャケットには最適です。


(左) Standeven “Park Lane”   100% Super 120’s wool  280/320g
(右) Loropiana  100% Wool  260g

いずれも、当店に現物の生地がありますので、ぜひ、お手にとってご覧ください。
*出典 「タータン 伝統と革新のデザイン」青幻舎
「Tartan Check Patterns」デザインエクスチェンジ株式会社

 


(神戸タータン情報)

  
9月21日より久留米市美術館にて、「タータン 伝統と革新のデザイン」展が始まりました。>>
会場では、神戸タータンの御朱印帳、婚姻届、神戸マラソンの完走メダル、アルコイリス神戸のユニフォームなどが展示されており、一方、ミュージアムショップでは、神戸タータングッズを多数販売しています。
九州の皆さん、ぜひお立ち寄りください。
久留米の後はいよいよ、新潟県立万代島美術館です。

また、先日の繊研新聞にて、神戸タータンの特集記事を掲載していただきました。

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