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Vol. 214 2024 Spring/Sumer Forecast

寒い日が続きますがいかがお過ごしでしょうか。
天気予報によると、2月に入ると例年より高温の日が続くとのこと、いっそのこと、このまま春になってほしいですね。

1月の後半から、2024年春夏物の生地見本が入り始めました。
かつてのような、とにかく軽く、とにかく通気性が良く、とにかくしわにならないといったいわゆる盛夏物の生地が徐々に姿を消し、オールシーズン着用可能なものが増えてきました。
そういえば、数十年前には、内部の照明で光る半透明のアクリルのボディーに文字通り「網」のようなジャケットを着せて、いかに透け透けで通気性が良いかをアピールするトルソーが百貨店のオーダー服売り場にありましたっけ。
かつては、この蒸し暑い日本の夏において、皆、我慢をしてスーツを着るという一種の連帯感みたいなものがあったのだと思いますが、環境省が提唱した「クールビス」あたりからその連帯感に綻びが見え始め、コロナ禍でのテレワークの普及が決定打となり、夏はカジュアルな服装が主流となりました。
ただ、今はカジュアル一辺倒の装いに対する「揺り戻し」もあり、むしろTPO(Time, Place, Occasion= 石津謙介氏が仕掛けた和製英語!)に合わせた服装をそれぞれが考えるようになっているのではないでしょうか。
その意味においては、今後のファッションの在り方は色々、紆余曲折がありそうです。
2月1日の段階では、まだ一部の生地見本しか手元に届いていませんが、それでも傾向ははっきりしていると思います。
スーツにおいては、オールシーズン生地が徐々に増えつつあることと、盛夏用としてはハイツイストやスリープライ、フレスコなどの張りのあるざっくりとした風合いのものが多くみられます。
綾織の240g~260g程度のオールシーズン生地は室内での着用を意識したものですが、一方、後者のざっくりタイプについては、ビジネスの場面において、かつてそこそこの光沢感と通気性のあるトロピカルが主流であったころに比べると、盛夏のフォーマルの基準が少し下がり、素材のたおやかさはさておき、上下同色のスーツを着用するだけで充分、という状況になったのではないでしょうか。
ハイツイストは糸の光沢が乱反射するため、生地としは「艶消し」のような印象になりますが、しわになりにくく通気性はある点では、優れた素材です。
下の画像は、ざっくり、ハイツイスト、フレスコ系の一例です。

 


Ermenegildo Zegna  “Bielmonte”  90% Wool  10% Silk  250g

 


Loropiana  “Zelander Z-Twist”  100% Wool  270g

 


Vitale Barberis Canonico  “4ply Tropical”  100% Wool  410g

 


Ermenegildo Zegna “Island Fleece”  100% Wool  260g
(2024年春夏物生地情報でもご紹介しています。>>

 

一方、ジャケットにおいては、やはりホップサックが一押しです。
ホップサックとは、日本では引き揃えや斜子織(ななこおり)と言われ、経糸、緯糸とも2本以上の糸を並列して平織にする生地で、言うなれば「かご」の網目のように、通気性のある織物になります。
しかも、その割に地厚感があるために見た目にはざっくりとした印象になり、前述の百貨店の生地のように、網のような透け透けの印象はありません。
一般的に、パンツよりジャケットがざっくりとした質感がある方が自然な装いになるため、ジャケットを「ざっくり」にすると、合わせるパンツのバリエーションが格段に多くなります。
サマーウールのさらっとしたパンツを合わせるとフォーマルな印象になり、チノパンなどを合わせると一転、カジュアルな印象になり、ご出張などには非常に便利です。
また、夏場のジャケットの効用として、これは服飾の専門家には怒られそうですが、ジャケットにはポケットがいっぱいあるので、財布、スマートフォン、手帳、筆記用具などがすっきりと収まり、手ぶらで歩けるのも大きなメリットですね。

 


ホップサックの織の組織

 


Vitale Barberis Canonico “Supersonic”  100% Wool  290g

 


Smith Woollens “Finmeresco” 100% Wool  350g

 


Ermenegildo Zegna  95% Wool  5% Silk  210g
(2024年春夏物生地情報でもご紹介しています。>>

 


Vitale Barberis Canonico “Mesh”  100% Wool  280g

 

 

この度、ロフト神戸では、「神戸タータンまつり」が開催されます。
特設会場にて、普段以上の神戸タータンの商品を取りそろえ、行政などが展開する神戸タータンのアイテムの展示やワークショップも開催予定です。
詳細につきましては、間もなく開示されますので、発表次第、ご案内いたします。
催事名:「神戸タータンまつり」
期間:     2月17日~3月17日、10時~20時(最終日は17時閉場)
場所:    神戸ロフト バラエティ雑貨売場 特設コーナー(神戸阪急新館4階)
(おわり)

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