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Vol. 150 Tweed

秋を超えて、急に冬らしくなってきました。
ここの所、まだまだ暖かかっただけに、余計に寒さを感じます。
寒くなると、急にツイードのジャケットが欲しくなりますね。
生地の中に空気を含むために暖かく、皺が寄りにくく仕立て映えがするなど、実用面においては素晴らしい服地ですが、なにより、毛羽だったぼんやりとした温かみのある風合いが冬の定番アイテムである所以です。
タイドアップをしてドレッシーに、デニムなどと合わせてドレスダウンしても着こなせる、便利な素材です。

ところで、Tweed(ツイード)、と我々は日常的に呼んでいるこの服地ですが、実のところ、ツイードの確固たる定義は存在しないのです。
確かに、紡毛糸(Woollen yarn)と呼ばれる、紡績の段階で、コーミングという繊維を引き揃える工程を省いた、毛羽だった糸を用いて織られた服地であることは確かですが、それでは紡毛糸を使った服地がすべてツイードかと言われれば、そうでもありません。
現に、フランネルは紡毛糸を使っていますが、ツイードではありません。

1963年・・50年以上前に、当時の英国服地の輸入商社であったゴールデンフリース株式会社の社長、吉岡善一氏が上梓された「Scotch Tweed’s Splendour」という立派な本を大切に持っているのですが、その本に興味深い記述があります。

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ツイードとは何か? この質問にBurke氏¹は面白い比喩を用いた。
「誰でも昼と夜の相違を知っているが、
それが移り変わる境を正確に指摘できない。
そのようにツイードと他の服地の違いは知っていても、
その区分はなかなかできないものである。」
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(注1) Burke氏はこの本の中でこの説明にのみ登場するため、どなたかは不明。

吉岡善一氏著「Scotch Tweed’s Splendour」

この説明、言い得て妙ですね。いろんな場面で使えそうです。(笑)
それじゃ当店ではどのような説明をさせていただいているかと言うと、
下記の生地についてのみツイードと呼んでいます。

◆ アイルランドのDonegal Tweed (ドニゴールツイード)
◆ スコットランドのHarris Tweed (ハリスツイード)
◆ スコットランドのShetland Tweed (シェットランドツイード)
◆ スコットランドのCheviot Tweed (チェビオットツイード)

それでは、それぞれの生地をご紹介します。

◆ Denegal Tweed  (Ireland)
アイルランド特有のツイード。もともとアイルランド北部のドニゴール地方で作られていた服地で、経糸に原色のネップ入りの糸が使われいるものがオリジナルです。
打ち込みがしっかりしており、スーツにもジャケットにも使えます。

 
W.Bill  440g


 
Molloy & Sons  390g

◆  Harris Tweed (Scotland)
アウター・ヘブリディーズ諸島内で染色、紡績、人力織機によって紡織されたツイードです。
柔らかい風合いと、生地の所々に、死毛(Kemp)と呼ばれる染まっていない白い毛が見えるのが特徴です。
一時、日本市場において、ハリスツイードを少ししか使っていない安価な小物などの商品が出回ったのですが、今は正常化しています。


 
Carnet  480g


 
Harris Tweed Hebrides 490g

◆  Shetland Tweed  (Scotland)
極細のシェトランド産の羊毛を使用した服地。ハリスツイードよりもより軽く、柔らかい風合いが特徴です。
比較的軽量で、秋口や春先にもご着用が可能です。


 
Breanish Tweed  280g


 
W.Bill  390g

◆ Cheviot Tweed  (Scotland)
イングランドとスコットランドの国境付近に生息する、チェビオット種の羊毛を使った服地。硬く締まった風合いはカントリー調のスーツにも最適です。
DormeuilのSportexはその代表的な服地です。


 
Dormeuil  380g


 
Lovat Mill  430g

 

ところで、Tweedの語源は?
これについても、前述の吉岡善一氏著の「Scotch Tweed’s Splendour」にて的確に説明されているので、それを引用させていただきます。

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ツイードの呼名は語源からきたものではなく、術語からつけられたものでもない。
また歴史的事実からでたものではない。
業者の伝説的物語によって、もたらされたものである。
その一つにガラシールスの毛織工場George Robertsからロンドンの
Regent StreetにあるJames Lock商会宛、インボイスの誤記から発生したので、
ロック氏が自分の間違いから偶然にも名付親になったと伝えられたのがある。
当時ツイード川流域にはGalashiels Greyという粗剛な綾織(英語でTwills)
沢山つくられていた。
この綾織は古いスコットランド語でTweelsと書く。
タイプライターのなかった時代にはlをdとかきちがえたのか、よみちがえたのか、
したものらしい。
そしてTweelsをTweedsと誤記されたことについては、どの物語も筋書が一致しているようである。
(原文ママ)

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当店には上述のツイードにおいては約20冊のバンチサンプルがあります。
また、出来上がりのサンプルも多数ありますので、用途や季節に合ったものをぜひお探しください。

 

【神戸タータン情報】

❶ まさに前述のハリスツイードの神戸タータンCPOジャケットのサンプルを作りました。

 

やはりCPOの生地は大柄のチェックが一番似合います。
ブルゾンよりドレッシー、ジャケットよりカジュアルのちょうどいい雰囲気です。
お仕立上り価格(ハンドメード、仮縫い付き)130,000円(税抜)

❷ 11月3日(土)~12月25日(火)東急ハンズ三宮店1階Aフロアに「神戸タータンコーナー」が設置されます。
当店のネクタイ、ポケットチーフ、スカーフ、くるみボタンなども販売いたしますので、ぜひお立ち寄りください。

❸ 神戸ファッション美術館の「スコットランドからの贈り物 タータン展」は
いよいよ、残すところ2週間足らず、11月11日までです。

 

エントランスのグッズ販売コーナーでは、スコットランドの食品をはじめ、神戸タータンのグッズも多数販売中です。

❹ 11月18日の神戸マラソン2018において、完走メダルやフィニッシュテープに神戸タータンが採用されました。

また、キーホルダー、ピンバッジ、タオルなど、神戸タータンコラボのオフィシャルグッズが多数販売されます。
11月16日(金)、17日(土)の神戸国際展示場での神戸マラソンEXPO2018の会場のみの販売となります。
入場無料ですので、ぜひお越しください。

神戸マラソン公式HP>>

 

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