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Vol. 149 Ten-fold tie / Cravatta Dieci Pieghe

少しずつ、秋らしくなってまいりました。
またまた、台風が接近しています。
充分お気を付けください。
当店では、2018年の秋冬物生地がすべて揃いました。
バンチサンプルは200冊以上、例年以上の品ぞろえです。
今年は特に、コート用の生地のバリエーションがかなり増えています。
今がまさに品切れも少なく、ほとんどの生地が取り寄せ可能です。ぜひお早めにご覧ください。

ところで、先月より、オーダーネクタイの取り扱いを始めました。
通常のネクタイもさることながら、今回の特徴はディエチピエゲのネクタイです。
生地は約100種類からお選びいただけ、長さ、大剣の巾、ノットの高さなどのご指定が可能です。
お仕立上り価格:20,000円(税抜)~

イタリア語でDieciは10、Piegaは折り目、Piegaは複数形になるとPiegheとなり、10回折りのネクタイということです。

上の画像のように、芯地や裏地を一切使わずに、大きな生地を、右側に7回折り、左側に3回折り、合計で10回折りで大剣を作ります。
(小剣はそれぞれ5回と3回の折りで、合計8回折りとなります。)
このように、大きな布を折り曲げてつくるのは古典的ネクタイ制作の手法となります。

さて、セッテピエゲは良く耳にされると思いますが、これも実に奇妙なことが起こっています。
現在のセッテピエゲ、実は、7回折りではなく、6回折りなのです。
確かに、7面に分かれていますが、これだと折り目は6個になります。(植木算ですね。)
昔はそれでも、もう一つ端っこに小さい折り目がついており、合計7回折りだったようですが、
いつの時代からか、それ自身、あまり意味のない折り目だったので、徐々に割愛されたのではないかと思います。
確かに、イタリア語、英語、日本語で
Piegare in due(Fold in two, 二つに折る)と Piegare due volte(Fold twice, 二回折る)は明らかに違いますね。
二つに折るでは結果的に2面、二回折るでは結果的に3面になりますよね。
セッテピエゲ(7回折り)も同もそのような経緯で、「7回折る」が「7つに折る」に曲解されていったのではないでしょうか。
この辺りを調べるべく、神戸ファッション美術館のライブラリーに半日こもって調べたのですが(笑)、残念ながら明確な答えは導けませんでした。
今回のディエチピエゲはそのセッテピエゲのネクタイに至るまでの更に伝統的なネクタイの作り方となります。
芯地が入っていないので、しっかりとしたノットでゆるみが少なく、大剣はふんわりとしたスカーフのようなエレガントさが特徴です。

下の画像ははサイズの違う二本のディエチピエゲの写真です。
正面と斜めの画像とも、
左が大剣幅8.5㎝、ノット高4.5㎝
右が大剣幅9.0㎝、ノット高5.0㎝
となります。
ノットの長さや、Vゾーンのネクタイの巾の違いがご覧いただけると思います。

また、ネクタイ生地のサンプルは100種類以上ありますが、下の画像はそのほんの一例です。

   

   

  

   

   

   

【ネクタイの歴史】
ネクタイの歴史は、ローマ時代までさかのぼります。
当時の兵士は、冬の遠征などの際に喉を守るために、Focaleと呼ばれるひもを首に巻いていたのですが、これは「男らしさ」を減退させるイメージから、かなり限定的な使われ方であったそうです。
時は進み、フランスのルイ王朝の時代、ルイ14世に仕えたクロアチア人の傭兵部隊が、彼らのアイデンティティーを示すためにあごの下に簡単に巻いていた細い切れはしが、現在のネクタイの起源と言われています。
現に言葉においても、イタリア語でネクタイを表すCravattaは、イタリア語でクロアチア人を示す「Crovati」が起源と言われています。
その後、ルイ14世の宮廷でも大流行、ベルサイユ宮殿の紳士たちに愛用され、レースやモスリンの素材に変わっていきました。
ルイ15世の時代の宮廷には、王様のネクタイを付けたり外したりするだけの使用人までいたそうです。
その後、18世紀中ごろにはヨーロッパのファッションに影響を受けた英国の洒落者により、母国に持ち帰られました。
逆にフランスでは、フランス革命の後、貴族階級の象徴としてのネクタイは廃れていきましたが、英国ではネクタイが重要なファッションアイテムとしての地位を確立しました。
例のボー・ブランメルは、ネクタイ(当時はクラバットと呼ばれるスカーフ状のふんわりとしたものでした)は白でなくてはならないと主張、かつては保護者であり、その後、敵となったジョージ4世は、それに対抗し、国際的なファッションシーンで黒のネクタイを提唱しました。
最終的には黒のネクタイが世間を席巻したのですが、その後、いろんなネクタイが登場し、現在では、結び下げの通常のネクタイとボウタイに集約されています。

 

【神戸タータン情報】

❶ 神戸タータンのハリスツイードのCPOジャケットのサンプルを作りました。

やはりCPOの生地は大柄のチェックが一番似合います。
ブルゾンよりドレッシー、ジャケットよりカジュアルのちょうどいい雰囲気です。
お仕立上り価格(ハンドメード、仮縫い付き)130,000円(税抜)

❷ ロフト神戸にて10月3日~17日に神戸タータンのほぼ全商品の販売会が開催されます。
従来の1Fのコーナーと3Fの特設会場での展開です。
当店の全ネクタイコレクション、コサージュ、くるみボタン、岡山デニムのコラボ長財布などが出展されます。
また、上記のCPOジャケットも展示する予定です。
ぜひご来場ください!

❸ 先日もお知らせしましたように、岡山デニムとコラボの長財布が出来上がりました。

表側が岡山デニム、内側が神戸タータンの播州織のコラボ商品です。
デニムは旧式のシャトル織機の証し、赤耳(セルビッジ)がついています。
カードが12枚収納可能、真ん中にファスナー付きのコイン入れ、また両面にお札入れが付いており、収納力抜群の長財布です。
また、左右ともマチ付きですので、ファスナーを全開にしても、中のレシートなどが滑り出ることはありません。
デニム部分は、色落ちをしますので、使うたびに表情が変わっていきます。
コットン素材で革に比べはるかに軽量でソフトでありながら、デニムの持つ「張り」感は、一度使うと病みつきになります。
素材:コットン100%
サイズ: 巾約20cm 高さ約11cm 厚み約2cm
販売価格 8,000円(税抜)
オンラインショップはこちらです。>>

❹ 神戸ファッション美術館の「スコットランドからの贈り物 タータン展」は11月11日まで好評開催中です。

 

エントランスのグッズ販売コーナーでは、スコットランドの食品をはじめ、神戸タータンのグッズも多数販売中です。

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