Vol. 184　Jersey Suitings and Jacketings

誠に勝手ながら、8月10日（火）～13日（金）は、夏期休暇の為、臨時休業させていただきます。
14日（土）以降は、通常通り営業いたします。（水曜日定休）

梅雨が明けて、一気に真夏がやってきました。
今年は、何となく湿度が高いような気がします。
ひょっとしたら、マスクのせいで、そのように感じるだけかもしれませんが。

7月中旬より、2021年秋冬物の生地見本が入荷し始めました。
昨年の秋冬は、世界的なパンデミックのショックが冷めやらずの状態で、特にヨーロッパはロックダウンの影響もあり、あまり新素材はお目見えしませんでした。
今年に関しては、2年間のアイデアのマグマが一気に噴き出した感もあり、また、このコロナ禍で世界中の人々のライフスタイルの変化が一気に10年分進んでしまったような状況で、いろいろ新しい素材もお目見えしています。
その中で大きな二つのポイントは、
１．テレワーク等の浸透による、衣服のカジュアル化、着心地の楽な服への移行。
２．SDG’ｓや、Traceability（生産、流通過程の追跡可能性）、Sustinability（環境、社会の持続可能性）への配慮。
で、服地にもこのような特徴が端的に表れています。

２については、改めて説明をさせていただくとして、今回は、１のポイントの新商品をご案内します。
それは、まさにJersey（ジャージ）です。

服を作るための生地は、大きく分けて「織物（業界では一般的に布帛＝ふはくと呼びます。」と「編物」に分かれます。
（これ以外に使い捨てのマスクなどに利用される不織布がありますが、これはまたの機会に。）
布帛は、経糸と緯糸を交差させること（Weaving）により生地を作ります。
縦方向、横方向にはあまり伸びません。
それに対して、「編物」は一本の糸を輪っか状にしてからませていく（Knitting)、いわゆるニットと呼ばれるもので、靴下のようにどちらの方向にもよく伸びます。

　
織物（布帛）　　　　　　　　　　　　　　　　　　　編物（ニット）

今までのスーツやジャケットの素材のほとんどが織物でした。
ところが、今年は編物が多く売り出されています。
いわゆるジャージと言われるものです。
皆さん、「カットソー」という言葉をお聞きになったことがあると思います。
元々、「Cut and Sewn （カットアンドソーン）」という業界用語だったのですが、いつの時代からか、一般消費者向けにも「カットソー」として紹介され始めたものです。
通常、セーターなどのざっくりとした編物、いわゆるニットは、前身、後ろ身、袖などパーツの形に編んだものを組み合わせて服を作りますが、このカットソーで使われるジャージは、流し編みと呼ばれる単純に円筒状に編んだ生地を切り開いて、織物の生地のような状態を作り、一旦、反物にして、それを織物の服地のようにパーツごとに裁断（Cut）して、縫製（Sewn）をしていくものです。
既製品では、Ｔシャツ、ポロシャツやトレーナーなどがそれにあたります。
前述のように、ジャージは伸びるため、縫製には様々な困難があるのですが、出来上がると、今までの布帛の生地とは全く次元の違うストレッチ性で、非常に快適な着心地となります。
かつて、当店でも何度かご紹介をしたことがありますが、特に、Loropianaのカシミアのジャージ生地「Cashmere Ricestitch」のアンコンジャケットが非常に高価であるにもかかわらず、多くのご注文を頂きました。
身体にまとわりつくので暖かく、とんでもないストレッチ性で、最高のジャケットとなりました。
今回、この生地も色のバリエーションを変えて、復活しました。
また、本来、織物特有の柄である、千鳥格子やガンクラブチェック、そしてチョークストライプなども再現されており、通常のジャケット感覚でご着用が可能です。
また、ダブルフェイスなど、冬物として十分暖かく、パンツにも使用できるものも多くあります。

Loropiana　“Ricestitch”　100% Cashmere 305/335g （今シーズンはこのブルーグレーの展開はありません。）