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Vol.155 Fresco type suitings

春の日差しを感じられる日もありますが、まだまだ寒いですね。

さて、私、石田原は、本日4月1日、神戸松蔭女子学院大学人間科学部ファッション・ハウジングデザイン学科の専任講師に着任いたしました。
同学科の開設以来、10年以上非常勤講師を務めてまいりましたが、本日より地域貢献やファッションビジネスにおいて、より深く大学に関わらせていただくことになります。
これまでは、講義のために毎週月曜日の午前中のみ店を空けておりましたが、今後、月曜日に数科目の出講となるため、ほぼ終日不在となります。
また、校務のために月曜日以外も不在になる可能性があり、皆様には大変ご不便をおかけいたしますが、何卒ご理解のほど、お願い申し上げます。

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さて、2019年春夏物の生地もすべて出揃いました。

スーツ生地に関しましては、合物、いわゆるオールシーズンの着用が可能な綾織の服地が増える一方、盛夏に対応が可能なフレスコタイプの生地のバリエーションも増えてきた印象です。
真夏にスーツを着用する必要のない男性が増える中、どうしても着用の必要な場面や、着用しなければならない人にとって、より実用的で快適な服地のニーズが高くなっているのではないかと思います。
これまでは、フレスコタイプの生地はかなりカジュアル寄りのスーツで、やはり夏のドレッシーなスーツは、梳毛の平織、クリアカットのマットウーステッドやトロピカルなど、より光沢のあるものとされていました。ただ、今や、クールビスが浸透し、夏のドレスコードは一段階レベルダウン、トロピカルでなくてもフレスコタイプでもスーツであれば十分ドレッシーと見なされるようになったのではないでしょうか。
時代が移り変わり、いままで、わき役に甘んじてきたフレスコタイプの服地が夏の主役に躍り出た、と言った感じです。
ちなみに、フレスコ(Fresco)は、1907年にMartin Sons & Co.が開発した強撚糸による多孔質の平織で、涼しく、シャリ感がありしわになりにくい旅行用スーツの生地として一世を風靡し、当時の英国王ジョージ5世(現女王エリザベス2世のおじいさん)の訪問を受けたほどでした。現在、Huddersfield Fine Worstedsの一員として、存続しています。

先月ご紹介したSolaro同様、「フレスコ」は登録商標ですので、他社の生地はあくまでもフレスコタイプと呼ぶ必要があります。
これらの生地は、糸を強く撚っているいわゆるHigh-Twist(強撚糸)を使っているので、硬い風合いで肌との接地面が少ないので、清涼感があります。また、糸を強く撚ることにより、糸は細くなり強くなるので、隙間の開いた服地を織ることができるため、通気性が向上します。
もちろん、復元力も高くなるので、皺が寄りにくく夏のスーツには最適な素材です。
ただ、強撚糸は比重が重くなるので、通常の夏物の生地より、少し重くなります。

当店でご覧いただける、主なフレスコタイプの生地は、こんな感じです。

Dormeuil  “Tonik Wool”  100% Wool  295g
(ドーメルの新商品、南米パタゴニアのウールを使用しています。)

  

(服に縫い付ける織ネームに朱子織でQRコードが施されており、いつでもこの生地にプロモーションビデオを見ることができます。たぶん、この画面でも読み取れると思います。)

Bulmer & Lumb  “Airwool”  100% wool  270g
(Edwin Wooldhouseの名作AirwoolもBulmer & Lumb社で製造されています。)

  

 

Wain Shiell  “Bahama”  100% Wool  280/290g
(ScabalグループのWain Shiellはコストパフォーマンスが抜群です。)
 

 

Vitale Barberis Canonico “4 Ply Tropical”  100% wool  390g
(イタリア製では珍しい、4本撚りのざっくり感が魅力的です。)
  

 

Taylor & Lodge  100% wool  310g
(名門テーラー&ロッジはモヘアのコレクションが中心ですが、フレスコも展開しています。)
  

 

Smith Woollens  “Finmeresco”  100% Wool  360-390g
(Finmerescoでも最重量級の4Plyのフレスコです。)
  

 

William Halstead  “British Classic”  100% Wool  300/320g
(柄物がかなり充実しています。)
  

 

Fox Brothers & Co.,  “Fox Air”   100% Wool  285/315g
(フランネルのFoxですが、最近は夏物も充実しています。)
  

 

Hardy Minnis  ”2ply Fresco”  100% Wool  280/310g
(冒頭でご説明した、Martin Sonsと同じ、Huddersfield Fine Worstedsのメンバーです。)

  

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Loropianaの”Atelier”ラインで婦人物のジャケットとパンツを作りました。

この生地のコレクションはもともと、エルメスやランバンのオートクチュール用に制作された、ロロ・ピアーナの婦人物です。
今年の春夏は、プリントと無地のコーディネートの提案で、プリントのウールのマットウーステッド、コットンのチュールとそれらにコーディネートが可能な無地のタスマニアンやダブルフェイスのスプリングコート生地などがセットになっています。
下の5種類のプリント生地のコレクションです。
夏にで少しドレスダウンして着用するとおしゃれですね。


 

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神戸タータン情報

❶ 東急ハンズ三宮店の1階Aフロアに常設の神戸タータンコーナーが開設されました。
広いスペースに所狭しとタータングッズが展示されています。
当店も、シルクプリントネクタイ、ポケットチーフ、プリントスカーフ、ボウタイ、コサージュ、くるみボタン、播州織コットン生地などを出品していますので、ぜひお越しください。
また、5月のGW後半には、神戸松蔭女子学院大学のファッションショーも予定しています。
売場の模様はこちらをご覧ください。東急ハンズ三宮店>>

❷ 4月13日より5月26日まで、岩手県立美術館にて「タータン 伝統と革新のデザイン」展が開催されます。

 
神戸、三鷹に続いての巡回展となります。
今回は、神戸タータンのコーナーが新設され、神戸マラソンや東北みやぎ復興マラソンの完走メダル、垂水区制作の婚姻届、生田神社の御朱印帳、アルコイリス神戸のユニフォームなども展示されています。
また、販売コーナーでは、神戸タータンのアイテムの販売も予定されています。
東北地方の皆さん、ぜひ、ご来場をお待ちしております!
岩手県立美術館>>

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