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No. 246 Sunday Shopping in Paris

ここのところ、うっとおしい日が続きますが、いかがお過ごしでしょうか。

◇ 先月、ご紹介したWilliam Blissのパンツ生地、Bedford Cordの現物が入荷しました。


William Bliss  ”Cotswold Country Tweed”  100% Cotton  530g
現物の生地は、思いのほか柔らかく、長い期間着用が可能なパンツが作れそうです。
また、同時にFox Brothersの新しいバンチサンプルであるVintage Foxの千鳥格子のジャケット生地も入荷しました。


Fox Brothers  ”Vintage Fox”  100% Wool   400/430g

 

◇ 9月10日から16日まで、勤務します大学の公務でパリに出張いたしました。
もともと、Maison et Objetという、世界最大級の雑貨のトレードショーとパリ市内の関係機関の視察が目的ですが、一時の猛暑は収まったとはいえ、いまだに30度越えの暑さで、連日の2万歩以上の移動はさすがに疲れました。
パリ郊外の見本市会場のトレードショーは日曜日も開催されているのですが、午後にパリに戻った際にちょっとした驚きがありました。
それは、かつての日曜日のパリでは考えられなかった、にぎわいがあったことです。
今回は、そんなパリの百貨店の話題をお伝えします。
実は、私、1980年前後に半年ぐらいパリに住んでいたことがあります。
当時は「日曜日は労働者の休息日」という原則から、日曜日の店舗の営業は厳しく制限されており、一部の市場やパン屋を除いて、すべての店舗は休業していました。
もちろん、百貨店も例外ではありません。
パリ市民にとっては「休むしかない」静かな日でした。
観光客もショッピングができないので博物館や美術館しか行き先がなく(これらは原則として月曜日が定休)、そちらに殺到していました。
しかし、2009年あたりから、市内の観光地や大型商業地域では例外的に営業を認める制度ができ、2015年にはマクロン法と呼ばれるマクロン経済相(現大統領)が推進した法律により、ZTI(国際観光地区)が制定され、シャンゼリゼ、オペラ近辺、オスマン大通り、サンジェルマン、マレ、モンマルトルなど12地区の店舗の日曜日の営業が認められました。
私にとっても、今回、日曜日に市民が百貨店で買い物をする様子は、まさに隔世の感がありました。
ちょうど、上述のサンジェルマン地区のZTIに含まれる、レンヌ・サンシュルピス周辺にある、世界初の近代百貨店とされる「Bon Marché」(ボンマルシェ)で日本のコンビニ文化をテーマとした「Super Japon」という日本フェアが開催されていました。


(左)世界初の近代百貨店「Bon Marché 」(ボンマルシェ)、(右)Super Japon売場


(左)日本の古着や伝統工芸の売り場、(右)特設会場の食品売場の「だし」コーナー


(左)フランスでは非常に珍しいキャラクターIPのライセンスグッズ、画像はBon MarchéxHello Kittyのコラボ
(右)昭和時代の学級写真や社員旅行の記念写真など出所のわからない日本の古写真も販売されていた。

各売場では、多くの日本のブランドが紹介され、1階の特設会場では、日本の普通の食品、とりわけ、味噌、だし、コメ、日本酒、お茶などや生活雑貨が所狭しとディスプレイされ、消費者が殺到していました。
このようなパリの日本ブームは150年以上続いているといっても過言ではないでしょう。
1867年のパリ万博に江戸幕府、薩摩藩、佐賀藩が参加して、大々的に日本の美術品や工芸品を紹介したことが発端となり、「ジャポニスム」につながっていきます。
印象派のモネ、ドガ、ルノワールが大きな影響を受け、その流れはゴッホにも及びました。
その後、日本の武道、映画、アニメ、漫画、日本食ブームなどが断続的に起こり、現在に至ります。
1980年前半の滞在時も、和弓の弓道場が開設されたり、小津安二郎や大島渚の映画が街の映画館で上演されたり、「やきとり」のお店がフランス人に大人気でした。
しかし現在は、伝統的な日本だけではなく、日常文化が注目されており、コンビニ、文房具、キャラクターグッズ、化粧品などが大人気で、Bon Marchéでもまさにこれらの「今の日本」がクローズアップされていました。
MONOPRIXなどの街のスーパーマーケットにも当たり前のようにおにぎりが置いてあるのですが、さすがに勇気が出ず、今回は手が伸びませんでした(笑)
海外に行くと、逆に高品質、洗練されたデザイン、ディテールへのこだわり、「かわいい」と機能性の両立など、日本の商品の素晴らしさがよくわかります。
日本に来る外国人観光客にも、それらの商品の凝縮されたコンビニは魅力的なお店なんでしょうね。

 

さて、そしてもう一つ、別の百貨店の話題です。
それは、パリ市役所の隣にある「BHV」(ベーアッシュヴェー)です。


BHV Marais

パリの小売業界において大騒動になった事件の顛末はご存じの方も多いと思いますが、BHVが中国のウルトラファストファッションである「SHEIN」の売り場の開設を決定したところから始まります。
結論から申しますと、2025年12月にBHVが6階にSHEINを開設したのですが、この決定に対しフランスのファッション業界や政治家、市民団体から猛烈な反発が起こり、複数の有力ブランドが撤退。
最終的にはBHV側が「戦略的な誤りだった」と認めるところまで発展し、わずか7カ月でSHEINとの提携解消に至りました。
まず、ウルトラファストファッションとは、ZARAやH&Mのような一般的なファストファッションとは一線を画し、デザインから販売までを3週間程度で行う、超高速、超高回転のコレクションを展開するブランドです。
フランスでは昨今、ファッションにおけるサステナブル消費やリサイクルを重視する考えが広まっており、SHEINは大量廃棄問題やさらにデザインのコピーなどの問題で批判を浴びていました。
もちろん、安い服を歓迎する人も多く、オープン初日には開店を待つ長い行列ができましたが、抗議デモと交錯し、警官が出動する騒ぎになりました。
私が住んでいるころは、BHVは百貨店というより、DIY、生活雑貨や文房具などの専門店で、パリ市民に根付いた小売店だったのですが、このように商業主義に走った百貨店に対して大きな批判が巻き起ったようです。
さらに、Agnés bを筆頭とする有名ブランドが、SHEINと同居できないということで、相次いで撤退を表明し、当初強気だった経営陣も戦略的な誤りを認めざるを得なかったということです。


BHVの店内、売り場として稼働しているのは3分の1程度で、有名ブランドは全く見当たらなかった。

現在、来店客もまばらで、売り場も3分の2程度が空き家状態となっており、1年足らずでこのようになってしまうのか、と驚きを禁じ得ません。
最初にご紹介した日本フェアを開催するBon Marchéは1852年に世界初の近代百貨店として誕生し、パリの百貨店はその伝統を受け継ぎながら、単なる商品の販売の場ではなく、文化を発信する存在として発展してきました。
だからこそ、BHVの戦略は多くのパリ市民にとってパリの百貨店文化そのものへの挑戦と映ったのでしょう。
ファッション大国フランスが守ろうとしたのは、単なる商売の論理ではなく、長い時間をかけて培われてきた価値観だったのかもしれません。

 

◇ 神戸タータン情報
当店で販売しています神戸タータンの播州織のハンカチ専用のギフトボックスが出来上がりました。

ギフトボックスは40円(税抜)となります。
オンラインストアでもギフトボックス入りのハンカチのご注文を承っています。
播州織ハンカチ(中柄)>>
播州織ハンカチ(大柄)>>

(おわり)

 

 

 

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