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2.12025
Vol. 226 Plain weave and Twill weave

まさに真冬の寒さが続いていますが、いかがお過ごしでしょうか。
今年は2月3日が二十四節気の「立春」ですが、よく天気予報などで「立春なのに真冬の寒さ」みないな表現を耳にすることがあります。
本来、立春と言うのはその日を境に少しずつ暖かくなり春の気配がやってくるということですので、逆に言えば、立春は「一年で一番寒い日」ということになります。
ところで、当店では、そろそろ2025年の春夏物のバンチサンプルが届き始めました。
例年のごとく、その先陣として1月初旬にLoropianaがイタリアより到着し、その後、Drapers、Piacenza、Carnet、Canonicoなどが到着しました。
これから本格的に色々なサンプルが手元に届くと思いますが、改めて皆様にご紹介したいと思います。
また、すでに2025年春夏物生地情報をアップしています。お買い得の生地もご紹介していますので、ぜひご覧ください。>>
これから始まる春夏物の生地の仕組みについて簡単な解説をさせて頂きたいと思います。
一般的に春夏物の場合、色やデザインに加え、下記のような機能性が求められます。
◇ 涼しい、清涼感がある。
◇ 軽い。
◇ しわになりにくい。
などですが、結論として春夏物としては平織の生地が主流となります。
ただ、平織だから、上述の様な機能が備わっているわけではなく、上述の様な機能を持たせるためには平織にせざるを得ない、と言った方が正しいと思います。
平織(Plain weave)とは、織物の組織の中で最もシンプルなもので、経糸(たていと)と緯糸(よこいと)が一本ずつ交互に上下に浮沈しながら交錯するものです。
経糸も緯糸も浮く長さが最小限となり、また、経糸と緯糸がより強固に絡み合うため、他の織り方に比べ丈夫な織物となります。
それに対して、綾織(Twill weave)にはいろんな組織がありますが、下図の例ですと、経糸が緯糸2本分上に来て、1本分沈んで、を繰り返し、横の経糸はその浮沈が1本ずつずれていくため、斜めの線(斜文)が現れます。
下図の場合、よく見ると経糸のブルーの割合が大きく、緯糸のグレーが小さくなっています。
逆に裏側はグレーの面積が多くなるということで、デニムやソラ―ロのように裏表の色が極端に違うものはこのように経糸と緯糸の色を変えているのです。
綾織は経糸の浮く長さが長くなるため、生地の丈夫さという点では平織に劣り、そのかわり、ドレープ感のある柔らかい織物になります。
このように、結局、平織は、
◇ 糸の隙間を空けて通気性を良くする。→ 涼しい
◇ 糸の隙間を空けて糸の本数を減らす。→ 軽い
を実現しても、服に使う際の生地の強さを充分維持することができるため、春夏物には平織が使われるのです。
逆に綾織は、肌触りが柔らかく温かみがあり、光沢感も求められる秋冬物に用いられます。
実際に、強い光を当ててみると、平織と綾織の密度の違いが一目瞭然です。
(左)Ermenegildo Zegna ”Trofeo” 100% Wool 230g (綾織)
(右)Vitale Barberis Canoniso 100% Wool 230g(平織)
双方に強い光を当てたところ
(左)Ermenegildo Zegna ”Trofeo” 100% Wool 230g (綾織)
(右)Vitale Barberis Canoniso 100% Wool 230g(平織)
このように、同じ230gの生地でありながら、左の綾織では光の透過はほとんどなく、右の平織の生地の透け具合が大きく、密度が低いことが一目瞭然でわかります。
さらに、使う糸の撚りの強くする(強撚=ハイツイスト)ことにより、糸が細くなると同時に締まりが強くなり、その分、比重が重くなってシャリ感が出てきます。
このような生地を「フレスコ」と呼び、重量は増しますが清涼感のある生地が出来上がります。
(左)Smith Woollens “Abacus” 100% Wool 300/320g (平織)
(右)Loropiana “Zelander Z-Twist” 100% Wool 270g(平織)
前述の230gの平織生地に比べても重量がある割に生地の透け具合が高くなっています。
もちろん、平織でも冬物やオールシーズン物もありますので、一概に平織=夏物ということは有りません。
ただ、夏物=平織の一択ということになります。
また、平織、綾織以外にもホップサック、サテン(朱子織)、カバートクロスなど、用途によってさまざまな織り方があります。
各社、糸の撚り方、生地の織り方を駆使してさらにウールだけでなく様々な素材を併用して実に多彩なな生地を作っていますので、ぜひ、それぞれの感触を手に取ってお確かめください。
◇ 2月16日から3月9日まで神戸ロフトにて「神戸タータンまつり」が開催されます。
普段、販売されていない神戸タータングッズの販売やワークショップの開催、神戸松蔭女子学院大学の学生が制作した神戸タータンや神戸松蔭タータンの衣装も展示される予定です。
また、特別に、神戸松蔭女子学院大学の学生が企画・制作した「神戸松蔭タータン」グッズの販売も行われます。>>
またのない機会ですので、ぜひご来店ください。
◇ 現在、兵庫県立美術館ギャラリーにて「第24回神戸っ子アートフェスティバル」が開催されています。
2月2日までの開催ですので、ぜひお早めにお立ち寄りください。
(おわり)