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3.12026
Vol. 239 2026 Spring/Summer New Arrival
少しずつ春の気配を感じられる今日この頃ですが、いかがお過ごしでしょうか。
当店では、2026年春夏物の生地見本が入荷し始めています。
今回はその中でも新しい素材やリニューアルされたおすすめコレクションをいくつかご紹介したいと思います。
■ Harrisons “Frontier”
非常にユニークなスペックをもつオールシーズン生地、フロンティアが今年、デビューから30周年を迎えます。
平織の300gという、他に例を見ない「分厚めの平織生地」は独特の張りとコシをもち、仕立て上がりの美しさや優れた回復力には定評があります。
今年、30周年を記念し「アーバンクラシック」をテーマとした5種類のジャケット生地が誕生しました。
特別の織ネームがつく限定品ですので、ぜひお早めにご覧ください。


Frontier 30 YEARS LIMITED EDITION


Harrisons Frontier 100% Wool 300g
通常バンチサンプルもリニューアルされました。
■ India Madras (インディア マドラス)

India Madras 100% Cotton (Made in India)
今回ご紹介するマドラスチェックの原産はインド南東部の港湾都市マドラス(現チェンナイ)で、英国の東インド会社の貿易拠点として商業・文化の中心地として発展しました。
この素朴でカラフルなチェック柄は19世紀の初頭にヨーロッパにもたらされ、ネッククロス(ネクタイの前身)の新柄として社交界で好まれました。
その後、19世紀後半にブルックスブラザーズによってジャケットなどにも採用され、1930年代にはジャケットのみならず、パンツ、シャツ、ショーツなど、盛夏向けのアイテムとしてさらに発展しました。
日本においては、1960年代にVANの石津謙介氏やくろすとしゆき氏によって紹介され、とんでもない大ブームになりました。
実は、7年ぐらい前に、三鷹市美術ギャラリーで開催された「タータン・伝統と革新のデザイン」展の際に、くろすとしゆき氏と「アイビーとタータン」をテーマにした対談をしたことがあるのですが、1960年代のアイビー全盛期にはとにかくマドラスチェックが大人気だったということで、なかなか話がタータンに進まずに苦労した思い出があります。
当時の私のイメージとしては夏のマドラス、冬のタータンだったのですが、定番のタータンの存在がかすむほどのマドラスブームだったと言えます。
このインド産のマドラスチェックの生地が今、よみがえりました。
このインディアマドラスは、旧式の低速織機を使用し、不安定な電力供給下で生産するため、生地には織りのムラやネップなどが見受けられ、柄のピッチも均一でないため、柄合わせも非常に困難です。
更に、染料の安定性が低く、単糸を使用しているため、糸の芯まで染まりにくく、洗濯による色落ちは免れません。
そんなマドラスの最大の欠点であると同時に欠かせない持ち味になっているのが「色褪せ」と「色のにじみ」です。
天日干しによってゆっくり乾燥させるので立体的な風合いに仕上がり、通気性、速乾性を持ったこの素朴な生地は、夏のシャツやシャツジャケットに最適です。
但し、前述のような、色褪せ、色泣き、柄の不均一性などをご理解の上、お使いいただければ幸いです。
現在、ダークマドラスでサファリジャケットのサンプルを制作中です。

くろすとしゆき氏が神戸ファッション美術館に寄贈いただいたマドラスチェックのカーディガン(「日本の男服」展より)

India Madras Dark Madrasと呼ばれ、大人の雰囲気を持った暗めのマドラスも大人気でした。

India Madras のなかでも特に異彩を放った、かつてクレージーマドラス、パッチマドラスと言われた、様々なマドラスチェックをパッチワークした生地を使ったサマージャケットも一世風靡しました。


■ Loropiana ”Uniti”
Loropianaの新しいバンチサンプルです。
無地のコレクションですが、春夏の魅力的な素材が収録されています。

その中で一番のおすすめは”Zelander Z-Twist”です。

Loropiana “Zelander Z-Twist” 100% Wool 270g
この生地は経糸、緯糸とも毛番手の45番手双糸で構成されています。
通常、糸は引張り強度を増すために「撚り」をかけますが、ねじる方向により、Z撚り(左撚り)とS撚り(右撚り)があり、通常、Z撚りの単糸を2本撚って双糸にする場合はS撚り、すなわち反対のねじりをかけて、よりふんわりとした風合いに仕上げます。
ただ、この生地はZ撚りの単糸を2本、さらに同じ方向のZ撚りをかけています。
したがって、糸は固く締まり、毛羽立ちが全くない、いわゆるコンパクトヤーンになります。
糸が締まることにより生地の隙間が増え、通気性がよく、しわもよりにくく夏に最適な生地となります。
英国のフレスコと同様の構造ですが、英国製に比べて糸が細く、適度なドレープ感があります。
また、毛羽立ちのないコンパクトヤーンゆえに光沢もあり、夏の機能的な生地でありながら、ドレッシーな印象になります。

次のUnitiバンチサンプルの中のおすすめ生地は、”Lightest”です。

Loropiana ”Lightest” 85% Super 150’s wool 15% Silk 150g
“Lightest”の名前の通り、150gの超軽量生地となります。
96番手の細いウールの糸に、世界で最も細いシルクフィラメントであるSilk600を交燃し、シルクの持つ吸湿性=清涼感と比重の軽さを存分に生かした平織の生地に仕上がっています。
さらに同じ糸を使った、通気性が特徴のホップサック180gもあります。
暑い夏において、スーツやジャケットを着用する際の「涼しさ」にはいろんな要素があり、前述のZ-Twistのような「通気性」「さらっとした肌触り」も重要ですが、「軽量」も極めて重要な要素であり、このLightestはそこをとことん追求した生地と言えます。

今回ご紹介した生地見本はすべて当店にありますので、ぜひ一度ご覧ください。
(出典)
■トラッド覚え書 くろすとしゆき著 婦人画報社
■別冊Men’s Club 「サマー・アイビー」 婦人画報社
■男の服飾事典 婦人画報社

神戸タータン情報
■ 現在、三宮の神戸ロフトでは「第3回 神戸タータンまつり」が開催されており、普段よりもはるかに幅広い品ぞろえとなっています。
今回はラグビーリーグワンの「コベルコ神戸スティーラーズ」と神戸タータンのコラボグッズ、神戸セーラーボーイズと神戸タータンのコラボグッズ、「コベピポ」と神戸タータンのコラボグッズや、私の勤務します大学の学生が制作した神戸松蔭タータングッズの販売や、ワークショップも開催されています。
(コベルコ神戸スティーラーズは2月28日の試合で大勝、9連勝となり、リーグ首位に立ちました!)>>
神戸ロフトの詳細はこちらをご覧ください。>>
■ 2月26日より、当店におきまして神戸タータントートバッグのMサイズとSサイズの販売を始めました。

神戸阪急でアウトドアショップを展開する「@Trunk」(アットトランク)制作のトートバッグです。
跳び箱や体操マットに使われている国産6号帆布の丈夫さと、播州織の神戸タータンの鮮やかな色合いが大人かわいいトートバッグです。生地はしっかり頑丈な国産の帆布を使用していますので、日常使いも気兼ねなくできます。使えば使うほどしなりやシワ感が出てきて、経年変化も楽しめます。内部のポケットも神戸タータンがアクセントになっています。

Mサイズ 12,650円(税込) Sサイズ 9,350円(税込)
オンラインストアでも販売しています。>>
(おわり)












