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9.12024
Vol. 221 2024 Autumn/Winter forecast 2
お盆も明けたとはいえ、まだまだ暑い日が続いています。
しかも8月は台風も大量に発生し、天候も株式市場同様、落ち着かない日が続いています。
さて、当店では、少し遅れていました2024年秋冬物の新しいバンチサンプルがほぼ出揃いました。
コレクションの中身につきましては詳報させていただきますが、外国為替についても昨今の荒っぽい動きの状況で、ミルやマーチャントの各社、考え方の違いが鮮明に表れています。
この秋冬物もさらに昨年度以前のコレクションについても10%以上の値上げをするミルやマーチャントもあれば、この秋冬は昨年の価格からほとんど値上げをしていないところまで、各社対応は様々で、ここにきて、各社間の価格の差が大きく開いています。
我々も、価格については注視する必要があります。
今回は、英国やイタリアのミルやマーチャントが自ら発行する新しいバンチサンプルを中心にご紹介したいと思います。
① 秋冬物スーツ生地
Ermenegildo Zegna ”Island Fleece” 100% Wool 370g
南大西洋のフォークランド諸島(英国領)の羊毛を使用しています。
フォークランド諸島はわずか人口3000人強ですが、なんと羊は60万頭飼育されています。
システマティックなトレーサビリティが売りです。
370gのスーツ生地は英国生地のような風合いとハリ、コシを持つ、なかなか興味深いコレクションです。
Loropiana “Favola” 95% Wool 5% Cashmere 320g
前述のIsland Fleeceとは対照的な、ミルド生地でありながらイタリアらしいしなやかさを持つサキソニーです。
フランネルに比べると軽量ですので、秋口から初春まで息長く着用することができます。
24色もの無地のコレクションも圧巻です。
2024年秋冬物生地情報でもご紹介していますミディアムグレー、ブルーグレー、POW(Prince of Wales)はお買い得になっています。>>
Dormeuil “Sportex Vintage” 100% Wool 390/410g
約100年前に一世を風靡した、チェビオットツイードのスーツ生地、Sportexの復刻版です。
かつてのアーカイブのデザインを踏襲しており、ツイードでありながら目が詰まっており、カントリー調のスーツに最適です。
Scabal “The Royal” 100% Super 100’s wool 280g
Scabal定番の秋冬春のスリーシーズンスーツ生地がリニューアルしました。
安定した品質は定評があり、オーソドックスなチェック、カラードストライプ、オルタネートストライプ、シャドーストライプや通常の無地に加えて、グリーン、エンジ、ブルーのシャークスキンが新鮮です。
Loropiana “Jerseyly” 97% Wool 3% Polyurethane 300-310g
フランネルタイプですが、縦横のストレッチ性があり、カジュアルなスーツにも最適です。
前述のFavola同様、フランネルより軽量ですので、長い期間のご着用が可能となります。
画像にあるようなストライプでしたら、ジャケットやパンツの単品としても使えますね。
Ermenegildo Zegna “Traveller” 100% Wool 280/290g
経糸、緯糸が双糸のしわの寄りにくい定番生地です。
秋冬物は、少しウェイトが高くなり、秋冬春のスリーシーズンの対応が可能です。
② オールシーズンスーツ生地
Drapers “Pantheon” 100% Super 130’s wool 250g
Super 130’s woolは、Drapersの定番のArrivalとGreen Hillsのちょうど中間の品質となります。
経糸、緯糸とも双糸でハリとコシが充分ありながら、イタリアらしいドレープ感と光沢があります。
黒の無地に関しましては、まとめて仕入れており、お安くなっています。>>
Scabal “Majestic” 100% Super 100’s Wool 260g
Scabalの新しいオールシーズンスーツ生地です。
定番のクラシックなストライプ以外に、ブルー、ブラック、グレーを基調とし、オレンジ系、グリーン系、レッド系の幅広のヘリンボーンや無地のコレクションが秀逸です。
Dormeuil “Amadeus 365” 100% Wool 250/270g
毛羽立ちの少ないコンパクトヤーンを使用することで、光沢のあるエレガントな生地に仕上がっています。
Dormeuilの定番オールシーズン生地ですが、他社に比べ色出しや柄が特徴的です。
Ermenegildo Zegna “Trofeo” 100% Wool 240g
言わずと知れた、Zegnaの中心となる生地ですが、今年は、茶系やグリーン系が注目です。
やはり、上品な艶感は秀逸です。
③ 秋冬物ジャケット生地
Dormeuil “British Vintage” 100% Baby Alpaca 450/470g
非常に珍しい、ベビーアルパカのジャケット生地です。
アルパカはスケール(ウールに見られる表面のうろこ)がなく、雨などにも強い質実剛健たるイメージがありますが、ベビーアルパカは更にしなやかさと光沢感も持ち合わせています。
コートにも使えるウェイトです。
Loropiana “Proposte Giacche” 95% Wool 5% Cashmere 320g
カシミアをブレンドした温かみのあるジャケット用生地です。上品な色目でありながら、大胆なチェックが特徴です。
Loropiana “Silk Air” 88% Wool 12% Silk 320g
もはやLoropianaの定番となったシルク混の素材です。
経糸、緯糸にスラブ糸を使っているため、立体感のある生地に仕上がっており、色のバリエーションも豊富です。
毛羽立ちがない分、長い期間のご着用が可能となります。
Loropiana “Australis Denim” 100% Super 150’s wool 480g
経糸、緯糸が双糸のコンパクトヤーンを使用しているため、毛羽立ちが少なくカジュアルな生地でありながら、エレガントさも兼ね備えています。
480gですので、コートにも使えます。
④ ウィンターコットン
今年は例年以上に、冬物のコットン素材が豊富にあります。
Drapers “Cotton Deluxe” 98% Cotton 2% Polyurethane 450g
厚めのドリル生地にしては珍しく、ポリウレタンが入っており、かなりの伸縮性があります。
冬のコットンパンツには最適です。
Drapers “Cotton Deluxe” 100% Cotton 430g
コットンのソラ―ロタイプの生地です。
スリーシーズン用のジャケットやスーツに最適です。
Loropiana “Cotton Way” 88% Cotton 10% Wool 2% Polyurethane 350g
コーデュロイは裏は起毛していないため、着用すると一瞬、ひんやりとした肌触りになりますが、これはウールがブレンドされているために、温かみのある着心地とともに光沢感のある高級なイメージに仕上がっています。
また、コットン100%の生地に比べても、しわは寄りにくくなっています。
Drago “Skyfall” 92% Cotton 8% Super 180’s wool 300g
前述のLoropiana同様、ウールをブレンドすることにより、温かみのある生地であると同時に、落ち感が良くしわにもなりにくい特徴があります。
Ermenegildo Zegna “Cashco” 91% Cotton 8% Cashmere 1% Polyurethane 330/340g
こちらも同様の特徴がありますが、ウールではなくカシミアをブレンドすることにより、さらに光沢感があり高級感を醸し出しています。
肌触りも抜群です。
Brisbane Moss “Keats” 100% Cotton 580g
英国のコットンのスペシャリストによるドリル生地です。
ドリルは本来、逆綾になりますが、まさにこれはそのように設計されている本格的に生地です。
(通常の綾織はカタカナの「ノ」の字の方向、すなわち右上から左下に綾が現れますが、逆綾は左上から右下の逆方向の綾になります。)
かなりの厚みがあるので、断熱効果も抜群です。
⑤ その他
Ermenegildo Zegna “Island Fleece” 100% Wool 570g
一番最初にご紹介した、Island Fleeceのコート生地です。
肉厚のしっかりとした生地感でありながら、イタリアらしい色目で、様々なコートの可能性が考えられます。
CPOジャケットやシュータージャケットのようなショート丈の防寒着にも良さそうです。
今回ご紹介した生地は当店にすべてのバンチサンプルがありますので、ぜひご来店の上、お確かめください。
(おわり)