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Vol. 183 Tipping Blazer

まだまだうっとおしい季節が続きますが、いかがお過ごしでしょうか。

この数週間の間に、イタリアや英国の2021年秋冬物のコレクションが出始めました。
本格的には、7月後半から8月前半にサンプルが出来上がってくると思いますが、今まで紹介されたコレクションでは、とにかくカジュアル化が進んでいるということを実感できます。
それは、全世界的な新型コロナウィルス感染症の影響によるファッションの変化、と言うより、緩やかに進んでいたカジュアル化が、コロナが原因で一気に進んだ、というのが正確だと思います。
2021年の生地の最新情報は、後ほど簡単にお伝えしたいと思います。
この世の中のカジュアル化に対応して、このほどTipping Blazer(ティッピング ブレザー)を制作しました。

(ジャケット)Angelico  100% Wool  375g
(パンツ)  Loropiana “Proposte Giacche”  90% Cotton 10% Cashmere 480g
(インナー) 私物

ティッピングとは、ジャケットのフロント部分やポケットの上部に取り付けられたグログランテープによるパイピングのことです。
このティッピングブレザーの起源は判然としないのですが、英国の大学のスポーツクラブのユニフォームとして1900年以前から多用されていたのは確実です。
1924年のパリオリンピックを舞台とした映画「炎のランナー(原題 Chariots of Fire)でも、ケンブリッジ大学のクリケットのチームなども揃いのティッピングブレザーを着用しており、日本選手団も紺のブレザーに赤のティッピングをあしらったユニフォームを着ていました。(史実に基づいているのかは不明ですが。)
現在でも、有名なHenley Royal Regattaなどのボートレースにおいても、各チームのブレザーにはレガッタストライプと共にこのティッピングが多くみられます。
炎のランナーで、ケンブリッジ大学の学生はこのブレザーとチルデンセーターを必ず合わせていました。
ちなみに、チルデンセーターは、アメリカのテニスプレーヤー、ウィリアム・チルデンが着用したためにこのように呼ばれていますが、本来、このVネックや袖口、裾に大胆なラインの入ったケーブル編みのこのセーターは英国伝統のスポーツ、クリケットのユニフォームとして使われていたものをチルデンが改良してテニスでも着用したようです。
ティッピングブレザーは現在のファッションでは、トム・ブラウンのコレクションや、トム・ブラウンがデザインしたブルックスブラザーズのブラックフリースでもよく使われていました。
画像のブレザーは、ミディアムグレーのフランネルに、ネイビーのティッピングを施しています。
もちろん、どのような生地で、どのような色のティッピングをつけることが可能です。
スポーティーかつカジュアルなイメージで、すこしドレスダウンして抜け感のあるスタイルががこの秋冬はお勧めです。
デニムに合わせてもいいですね。
もちろん、タイドアップすることも可能です。

 

これ以外にも、カジュアル感満載のジャケットがいろいろあります。
これらは、通常のジャケットに比べるとカジュアルあるいはスポーティーなイメージ、ただし、ブルゾンやジャンパーに比べるとドレッシーなイメージになるので、パンツやインナーのコーディネートで、オンでもオフでもご着用いただける、非常に便利なアイテムです。
主なものをご紹介いたしますが、すべて当店でお仕立が可能ですので、ぜひサンプルもご試着ください。

 
Norfolk Jacket(ノーフォークジャケット) 1800年代後半の英国のビクトリア女王の時代に流行したスポーツジャケット。このスタイルはゴルフ用に作られたものと思われ、ロンドンのV&A(ヴィクトリア&アルバート博物館)のアーカイブにある1900年のジャケットを再現しました。前後の縦のベルトと縦の胸ポケットが特徴です。サンプルの素材は、W.Billのホームスパンです。(すでに廃番になっています。)

 


CPO Jacket (CPOジャケット)アメリカの海軍の下士官(Chief Petty Officer)が着用するユニフォーム。1960年代のアイビー全盛時代に日本に紹介されました。本来、素材は紺のメルトンなどですが、大胆なチェック柄も素敵です。右が神戸タータンのハリスツイード、左はMoesmerの圧縮ウール。

 

 
Mckinaw Cruiser Jacket (マッキノ―クルーザージャケット)カナダの森林伐採の調査員が着用したといわれるジャケットです。これも1960年代にヘビーデューティーなアイビーのアイテムとして日本に紹介されました。赤と黒のバッファローチェックが有名です。背中に大きな地図を入れるポケットが配されています。サンプルの素材はブラックウォッチのハリスツイードです。

 

 
Shooter Jacket(シュータージャケット)その名の通り、ハンティングの際に着用するジャケットです。本来、射撃の際には両手がふさがるため、内側には、びっくりするほどの多くのポケットが付いているのですが、サンプルは非常にシンプルな仕様にしました。サンプルの素材は通常のコットンギャバジンですが、撥水性の高いVentileなどを使用すると防水、防風両方の効果が得られ、冬でも快適です。

 

ところで、
2021年秋冬物の服地の情報は、改めてInstagram等で紹介したいと思いますが、取り急ぎ速報です。
今年は、イタリアのメーカーにおいては、ニット素材が多くみられます。
英国の素材は、カジュアルジャケットを意識した、明るめの色柄が出てきそうです。

① Loropiana

 
“Cashmere Award” 100% Cashmere 305/335g


ロロ・ピアーナの新作です。上の画像はすべて、ニット、いわゆるジャージ素材で、横のストレッチが抜群です。
特に左上の画像の右側が、数年前に一世風靡したカシミアのジャージ「ライスステッチ」の復刻版です。
今回は特にカントリー調の色目が揃っています。
伸びる素材は、なかなか通常の縫製工場での縫製は難しいのですが、当店の工房では問題なく取り扱いが可能です。
これが、かつて制作したジャケットです。(現在、この色の展開はありません。)

 

② Reda Active


Reda Active “Double Face”  100% Wool  235g
これもダブルフェイスの厚めのジャージです。アンコンで仕立てると「人間をダメにしてしまう」ほど楽なスーツができそうです。
ダブルフェイスですので、冬も防寒も大丈夫です。

③ Moon

 
Moon ”Highland Tartans”
200g台から600gまでの様々なタータンのバンチサンプルです。
600gの大柄のブラックウォッチなどは、上述のCPOジャケットやマッキノージャケットに最適ですね。
また、薄めの生地では最初にご紹介したティッピングブレザーにも使えそうです。

今後、Instagramなどで様々な新着服地をご紹介しますので、ぜひお楽しみに。

 

【追伸】
先日お知らせしました、神戸のお買物券のお申し込みの締め切りが7月5日となっています。
18,000円分のお買物券が15,000円でお買い求めいただけ、当店でも使用できます。
専用HPから簡単に応募ができますので、ぜひ神戸市内にお住まいの方は、お申し込みください。
(応募者多数の場合は抽選になるようです。)

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