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Vol. 138 Overcoat Materials

2週連続の台風一過、急に冬が近づいてきました。

この季節になると、昨冬の12月や1月の寒さが思い出され、
オーバーコートが気になりますね。

今回は、オーバーコートの素材について、まとめてみたいと思います。
まず、我々、知らず知らずのうちに「コート」という表現をしてしまいますが、
オーバーコートとレインコートは本来、まったく別のアイテムで、
用途や素材は似て非なるものです。
レインコートは、文字通り、雨の日のためのもので、
その素材も、防水性が重要となります。
これ対して、オーバーコートは冬に着用するもので、
防寒性が重要なポイントとなります。

ちなみにバーバリーやアクアスキュータムのコートはレインコートで、
傘が役に立たない英国特有の霧や霧雨、あるいは、概して日本より気温の低い、
英国の通常の雨には適しています。
したがって、日本において、防寒用としてこれらの綿のコートを着るのは、
晴れた日に傘をさして歩いているようなものですね(笑)

もっとも、最近のバーバリーの宣伝では、「晴れた日のレインコート」が
多く見られるようになってきましたが(笑)

さて、オーバーコートの素材の仕上げには大きく分けて2種類あります。
もっとも一般的なものは「ビーバー仕上げ」と呼ばれる、毛羽だった服地です。
生地を織った後に、縮絨とよばれる縮ませる加工をし、、
チーゼルという「とげ」のある植物で引っ掻いて起毛し、それを縦方向に
寝かせたものです。
空気が最高の断熱材だとすると、空気をふんだんに溜めるビーバー仕上げは
非常に暖かい素材です。

それに対して、ヘリンボーンなど、織柄を施した生地は、
概して毛羽立ちが少なく、ビーバー仕上げに比べると温かみには欠けます。
ただし、その分、初冬や初春の少し肌寒い時期にも着用が可能なので、
長期間利用できるのが特徴です。

次に、素材の面から見てみましょう。
まず、やはりウールが重要です。ウールはもちろん羊の毛です。
暖かく、適度なはっ水性もあり、安価な分、気楽に着用ができます。
羊毛以外の素材は、獣毛(アニマルヘア)と呼ばれます。
一般的に高価なものから、ビキューナ(ビクーニャ)、グァナコ(グァナコ)、
カシミア(カシミア山羊)、キャメルヘア(ラクダ)、アルパカ(アルパカ)などがあります。
(カッコ内が動物の名前です。)
また、非常に珍しい動物では、アイベックス(アイベックス)、キヴィアック(ジャコウウシ)
などがあります。
基本的に、標高の高い寒い地域に住んでいる動物の方が、自らの器官を守るために、
身体の周りの保温の必要があり、より空気をためやすい細い毛になります。
概して、細い毛で作った生地の方が、柔らかく、身体にまとわりつくため、
非常に暖かいのですが、かなり高額なので懐は寒くなります(笑)


(上の画像をクリックしていただきますと、拡大写真がご覧いただけます。)

*第一次世界大戦当時のドイツ軍、フランス軍、スコットランド軍の
趣のあるオーバーコートが見らえる映画「戦場のアリア」

もともと、オーバーコートは軍隊やスポーツにおいて、
それぞれの状況で最高のパフォーマンスを発揮するために
作られたものです。
したがって、オーバーコートそのもののデザインや仕様だけでなく、
それに適した専用の素材も開発されています。
例えば、カバートコート用のカバートクロス
(ハンティングの際に、馬に乗って茂みに入るための撥水性の高い素材)
ローデンコート用のローデンクロス
(チロル地方での狩猟のための密度の高い防風性に富んだ素材)
ピーコート用のメルトン
(海軍において艦上で着用するための防水性、防風性に富んだ素材)
ブリティッシュウォーム用のブリティッシュウォーム
(第一次世界大戦当時の陸軍が塹壕内で着用するための防寒性の高い素材)
などがあります。
もちろん、これらの高性能な生地で違う形のオーバーコートを作ることも可能です。

写真の生地はすべて、当店にサンプルがありますので、ぜひご覧ください。
また、当店で製作可能なコートの特集ページもご覧ください>>

◇ ◇ ◇

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