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Vol.136 CPO jacket in Boiled wool

2017年秋冬物の生地はほとんど出揃いました。
イタリアや英国の各メーカーの発行するバンチサンプルが
例年より増えているようで、とうとう当店の書棚には入りきらなくなりました。
おそらく220冊以上になりそうです。

特に今年はコート用の服地が充実しています。
その中で異彩を放つのが、イタリアのMoesmmer社の圧縮ウールです。
ウールはご存知の通り、羊毛、すなわち羊の毛ですが、
ウールには二つの大きな特徴があります。
それはクリンプ(捲縮)と呼ばれる縮れとスケールと呼ばれる「うろこ」です。
織りあがった生地を熱湯の石鹸水に浸けて、もみ洗いをすることにより、
うろこが互いに絡み合い、いわゆる「縮み」が発生します。
ところが、ウールは前述のようにもともとバネのような縮れがあるため、
結果的にニットのようなストレッチ性が保たれるのです。

今回、この生地を使ってCPOジャケットを作ってみました。
もちろんこの生地の特性を生かすためにアンコンで
裏地はほとんど使っていません。
この生地自身、圧縮のおかげで目が詰まっているのでかなり暖かいのですが、
もし、厚手のセーターを着用しても、ストレッチのおかげで
窮屈感はありません。

この圧縮ウールは前述のようにイタリアのMoesmmer社のものです。
ベネチアから真北に約180㎞のボルツァーノ県のブルーニコに
工場を構えています。
もともと、オーストリア領の南チロル地方で、
ローデンクロスで有名なミルだったのですが、
第一次世界大戦後の1918年になんと、南チロル地方はイタリアに併合され、
突然、イタリア国籍の工場になったのです。
この県はトレンティーノ=アルト・アディジェ自治州に属し、
60%以上の州民がドイツ語話すため、イタリア語とともにドイツ語も
公用語と認められている珍しい地方です。

圧縮ウールは既製品ではたまに見ることがありましたが、
オーダー用の生地としては、私の知る限りはじめてお目にかかります。
コートにはいささか重すぎるので、ぜひ、CPOジャケットをお試しください。

2017年秋冬物の生地情報はこちら>>

◆ ◆ ◆ ◆

神戸タータン情報

間もなく、神戸タータン史上最小の柄のコットン生地が出来上がります。
(下の画像の左の生地)
現在、ご提供できる薄手の播州織生地は下記の通りです。

左から
40/1 x 40/1 平織
50/1 x 50/1 平織
50/1 x 50/1 綾織
50/1 x 50/1 平織
これ以外に、厚手のコットンギャバジンもあります。

秋冬物のウールのプリントネクタイとポケットスクエアが入荷しました。
わずかですが、セッテピエゲ(共生地の裏付)もあります。

ウールプリントタイ 6,000円(税込)
ウールプリントポケットスクエア 2,500円(税込)
ウールプリントタイ(セッテピエゲ)14,000円(税込)

まもなく、当店のネットショップにても発売予定です。>>

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